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エージェントの長期記憶には出典・有効範囲・更新方法を持たせる

前の会話で覚えた値を、現在の正しい業務状態とは扱わない。誰の何を覚えたか、根拠と確認時点を保存し、重要な判断では正本を照会する。

用語

長期記憶
会話や実行をまたいで保持する情報。保存済みであることは現在の正しさを保証しない。
名前空間
記憶を顧客や利用者などで整理するための区分。アクセス権は別に検証する。
正本
現在の業務状態を判断する際の基準となるシステムやデータ。

図と例

設計判断の流れ(独自の例)

保存する情報を選別 → 出典・主体・確認時点を記録 → 利用時に期限と権限を確認 → 重要な事実は正本へ照会

仮定の例:営業支援AIが「取引先42の与信枠は100万円」と前月に覚えた。今月の発注可否を判断するときは、記憶の出典を手掛かりに現在の与信管理システムへ照会する。顧客との対話で聞いた希望額や、モデルが推測した金額で枠を更新しない。金額は独自の例。

実際のサービス・製品では

  • LangGraph

    LangGraphのStoresは、会話単位のチェックポイントと別に、名前空間とキーを使った長期記憶を扱う。顧客ごとの認可、出典、失効と原本の再確認は、このTipで示すアプリ側の設計。

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解説

何を記憶する価値があるかを顧客と決め、利用者が内容を確認・訂正できる経路を用意する。現在の業務データを取得できない場合は、古い記憶から実行条件を推測せず、確認や保留へ進める。

長期記憶は会話や実行をまたいで残す情報で、実行途中の状態を保存するチェックポイントとは役割が異なる。好みや過去の経緯と、残高・契約状態・承認のように変わる事実を分ける。記憶には出典、確認時点、適用する顧客や利用者、期限、訂正方法を付ける。名前空間は保存先を分ける手段であり、それだけで認可を保証しない。サーバーで確かめた主体から読み書きする範囲を決め、外部文書やモデルの推測を検証済み事実として自動保存しない。原本の訂正や削除を派生した記憶にも反映し、古い記憶を読み出して再び事実として保存する循環を防ぐ。

トレードオフ

安定した好みや経緯だけを記憶する
得るもの:古い業務状態に依存する範囲を抑えられる
払うもの:最新の業務状態は別に取得する必要がある
業務情報も出典と期限付きで保持する
得るもの:前回の経緯や確認先を素早くたどれる
払うもの:訂正・失効・削除と利用時の再確認が必要

さらに学ぶ

チェック

前月の長期記憶に与信枠が残っているが、現在の値は未確認。今月の発注判断で適切なのは?

  1. 同じ取引先IDなら前月の値だけで実行する
  2. 現在の正本を照会し、確認できなければ判断を保留する
  3. モデルが覚えている値を現在の正本へ上書きする
解答と解説

現在の正本を照会し、確認できなければ判断を保留する

与信枠は変更され得る業務状態なので、保存した記憶だけで現在の実行条件を決めない。確認できない場合は保留する。古い値で正本を上書きすれば、記憶の誤りを業務データへ伝播させる。